2010年1月3日
新年明けましておめでとうございます。年末休暇をエクアドルで過ごし、戻って最初に手にした主要新聞3紙が同じ一面トップニュースを扱っていました。
要は今年から電気の配給制限(Racionamiento electorico)が強化され、ショッピングセンターの営業が夜9時までに限定されることになったというもので、これは実質的な夜間外出禁止(toque de queda)であるという論調です。
2008年秋に始まった世界不況の影響を受けなかったと政府は自慢していますが、実際には一般市民にも色々な面で負の影響が出ていました。その象徴が常に大勢の人々が集まり見た目活況を呈している多くのショッピングセンター(Centro Comercial、セントロ コメルシアル)での消費行動です。多くの場合、これらセントロ コメルシアルでは実際の買い物をするというより、冷房が効いて人が多く集まる場所で癒しを求めること(不況の日本も同じですね)や、安価な映画(平行レート換算で大人一人6百円程度)を観に行くというのが殆どで、これまでは深夜12時近くまで大勢の人たちが集まっていました。しかし、夜9時までに営業を終了しなければならなくなったことで、映画館も最も夜8時~9時に始まる回は上映が出来なくなった訳で、「映画は夕方6時で死ぬ(El cine muere a las 6 pm)」と過激な書き方がされています。
このトケ デ ケーダという言葉、実は戒厳令(Ley marcial)の一歩手前という、もっと深刻な状況で使われる単語ですが、1989年1~2月の全国暴動の時に使われ、当時は本当に深刻な意味で使われました。toqueというのは触る、quedaは警鐘(他に「居残る」という意味も)で当時は本当に夜間の外出が厳しく禁止されていました。当時の苦い経験と昨今の政府の管理が新聞にこういう表現をさせるものと思います。
年末にベネズエラ全土の電力供給の7割を賄う水力発電所を視察に行った際に、一日の中でも発電量は変動しており、夕方6時から10時までの時間帯が最も電力消費の多い時間帯であるとの説明を聞いてきたので、ショッピングセンターの営業時間を9時までとする措置は、最大出力を落とすのにはあまり効果を発揮しないのでは?という疑問も湧きますが、一方で同じく今日の新聞に「カラカスはメキシコのJuárez市、米国のニューオリンズに次いで世界第三位の暴力都市である」との記事も掲載されており、電気の配給制限に基づく外出規制は非安全の状況に対処した措置ではないか、とも受け止められます。 新年早々またまた明るくない話題となりましたが、今年は昨年よりも良い話題が提供できるようになって欲しいと切望します。また、本物のToque de quedaが発令されないことを祈っています。本年もよろしくお願いします。
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ウインドショッピングに興ずる市民
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