2012年3月25日
過去にも何度か書いたように、カラカスは地震帯の上に成り立つ都市で、直近では1967年7月29日に首都全体を直撃する地震が発生、現在日本の会社が多く集まるChacao区を中心に建物の崩壊で、死者236人、負傷者2000人以上という被害をもたらしました。
今回の記事では、前回の地震から50年以上が経過し、再び大きな地震が首都を直撃した場合、15階建て以上の建物を中心に大きな被害が発生する危険性を示唆しています。
’67年の地震後に建てられた中心部の60階ツインタワーであるParque Centralビルや、Banco Mercantil・Banco Provincialといった民間銀行、また中央銀行や危険地区と言われるAltamira地区でもTorre BritanicaやCAF(ラテンアメリカ開発銀行)本店ビル等は、日本の耐震基準にも耐えられそうな頑丈さを見せつけるような構造物になっていますが、'90年代以降に建てられた高層建築物は見るからにデザイン本意で、とても大きな地震に耐えられる構造であるとは思われません。
更に、今回着任してからの4年間の間に建てられた建物の多くは、工事の期間中から観察をしてきましたが、明らかに外貨不足や主要資材の国有化の影響で、鉄骨・鉄筋の量は極めて少なく、床も薄く、壁はレンガを積み上げて薄い漆喰を塗って見かけを仕上げており、先のニュージーランドでの地震で崩壊した建物以下の強度しか持っていないと素人目にも判る代物ばかりです。
日本でも東北大震災の問題がいまだに尾を引いている訳ですが、その前に発生したハイチの震災では、復興もままならない状況が今も続いており、カラカスで今地震が起こると、20万人の犠牲者を出したハイチ以上の被害が発生するという懸念を示しています。
現在強力に推進されているGran Mision Vivienda(大住宅計画)でも、カラカスが地震発生リスクを伴う都市であることをしっかりと認識して耐震性のある建物を作って欲しいと願いますが、ハイチ地震の際に我が大統領は「アメリカの新兵器が引き起こした人工地震である」と米政府を非難する声明を発表して失笑を買ったことから、仮に自国で地震が発生しても、同じ理屈で批判を回避することになるかも知れません。
さて、そのチャベス大統領、昨夜のフライトでまたまたキューバに向かい、ハバナ空港で盟友ラウル・カストロ氏の出迎えを受けました。
更に、ラテン・アメリカ各国歴訪中のローマ法王ベネディクト16世にも接見し、現政権による人権蹂躙を訴える国内のカトリック教会が反発するのを尻目に、しっかりと祝福を受けたことがUltimas Noticias紙で報じられています。
昨日の出発前に行われたテレビ放送を通じた会見では、今後4-5週間に亘る放射線治療を受けることになるとのこと。
4月は2002年の反チャベス・クーデター鎮圧記念の行事など、重要な政治日程が詰まっていますが、それを放棄してでも治療に専念しなければならない病状である、ということでしょうか?
しかし、以下の写真を観る限り、とても病人に見えないのは、やはり常人とはかけ離れた体力と精神力の持ち主であることの証左と言えるでしょう。
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大統領が早く健康を回復し、混乱を極める国内政治の地盤を固め直すことが出来るようになることをお祈りします。
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