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執筆者の写真Kaz Suzurida

ベネズエラの言葉 Indigena(インディヘナ)=先住民、インディオ  英:indigenous, native

2010年10月9日

10月11日は日本が「体育の日」、米国が"Columbus Day"で共に祝日になりますが、ここベネズエラでは10月12日が"El Dia de la Resistencia Indigena"(先住民抵抗の日)という名の祝日となっています。


この祝日、以前は米国と同様、"El Dia de Cristóbal Colón"と言う米国と同じ名前(米国ではChristopher Columbus)で、1942年10月12日のコロンブスによる新大陸発見を記念する日でした。


しかし、チャベス大統領が「コロン(コロンブス)は新大陸を発見した訳ではない。寧ろ欧州民族は先住民を殺戮し、土地と財宝を収奪しに来たのだ」として、この祝日の名を上述の様に変更しました。更に、国会にIndigena専用の議席を2議席設け、議決権は伴わないものの、国家行事の際も象徴的に裸族の正装(つまり裸)で出席させています。


コロンブスの名を国名に冠する隣国コロンビアでは、今年は10月18日にEl Dia de Colónを祝うようですが、旧大コロンビア帝国の一部であったエクアドルやペルーでは現在この休日は無く、その他にもアルゼンチンではDía de la Raza(人種の日)、ブラジルではNossa Senhora de Aparecida(聖母降臨の日)という全く別の名の記念日になっています。


そもそも、南米も北米もヨーロッパ人に「発見」された訳ではないという事は、今や南米だけでなく、誰もが認める事実であり、昔の日本の教科書の記述とは異なる概念で歴史の認識がなされています。その意味で、先週のOficialismo(与党)に代表されるように、多数の支持を得ればOfficialとなって歴史も何も変わるというのが、今の南米の潮流となっている訳です。


一方で南米で初めてノーベル文学賞を受賞したJorge Mario Pedro Vargas Llosa(日本語ではリョサ、当地ではジョサ)氏のような純粋欧州系の人種が芸術や経済を抑えているのも事実。(1990年のペルー大統領選挙で日系のアルベルト・フジモリ氏に敗れた経緯あることはご存知の通り。)

南米を理解するには、やはり現地の空気を吸ってみることでしょうか。

📷代表的IndigenaであるYanomami族


今週の大きなニュースの一つに農業資材会社Agroislena社の接収(Expropiacion)が挙げられます。3日に再開されたAlo Presidenteで大統領が発表し、翌月曜日に大統領令が発せられたものですが、ただでさえ農業の生産性が低下している現在のベネズエラにあって、農業生産の維持に貢献していたAgroislena社が国有化されると、農業の素人が資材流通を停滞させ、益々農業が駄目になる、と同社従業員のみならず、農家や農業団体も猛反発しています。


また、昨年10月に公示された兵籍登録法という国民皆兵(18~60歳の男女)の制度がいよいよ施行されることになり、登録作業が開始されました。


チャベス大統領は「資本主義との戦いの為に、国民全員が武装せよ」と言っており、こうした制度の下、一般大衆は理論でなく本物の武器によって武装を強いられ、治安の悪化に拍車が掛かることになりそうです。かつて田中真紀子氏が歴代総理を「変人・軍人・凡人」と揶揄したことがありますが、軍人で変人のトップの下、政策をIndigenaの祈祷で決められたりしないよう、注視が必要です。

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