top of page
執筆者の写真Kaz Suzurida

ベネズエラの言葉 desbordamiento(デスボルダミエント)=氾濫、横溢  英:overflow

2011年12月10日

今週は火曜・水曜の二日間に亘ってベネズエラ各地で大雨が降り続き、カラカスでも市内を流れるグアイレ川が一部で氾濫、多くの家族が床上浸水の被害に遭いました。この雨の結果、今週だけで全国で11人の方が亡くなっています。

チャベス大統領は今週末に予定されていたアルゼンチン・ブラジル遊説を急遽キャンセルし、豪雨被害者の対策に専念すると発表されましたが、一方で木曜夜に緊急入院したという説も飛び交っています。ただ、豪雨対策が後手に回り(と言うか、何もしていなかった)、人気が急落しているので、癌発表の時や、先の入院節の後キャッチボールをして不死身の男を演出したように、今回の入院節も政府側が人気回復の為に流したデマという噂もあります。

上の写真は氾濫前、下の写真は氾濫後のモノです。水曜と木曜の二日間、政府が強制的に学校を閉鎖しましたが、被災地に関係の無い地域では、子供をあずけることが出来なくなった母親が仕事に行けなくなるケースも発生し、また、生徒にとって重要な期末試験の時期に、こうした場当たり的措置を取る政府に批判の声も上がっています。(子供たちは概して喜んでいるようですが...。)

📷

Hubo rumores acerca del desbordamiento del Guaire  (グアイレ川が氾濫するとの噂も出た)

📷

El Río Guaire se desbordó (グアイレ川は氾濫した)

また、レストランやショッピング街として知られるLas Mercedes地区で、停車中のクルマが大雨で折れた大木に押しつぶされ、運転手が亡くなる事故となりました。

📷

Fuertes lluvias provocaron la caída de un árbol en Las Mercedes el cual impactó una camioneta quitándole la vida al chofer

下は以前カラカスを訪れた方には懐かしい、旧カラカス ヒルトンホテル(現アルバ カラカス)が今回の豪雨の被災民40家族の宿泊所になったという記事ですが、このホテルは昨年からの雨の被災者の受け入れもしており、既にロビーはこうした家族で一杯となって、通常の業務が出来る状態ではありません。

📷

Alba Caracas albergará damnificados de Los Teques (アルバカラカスはロステケス地区の被災民に宿泊場所を提供)

このアルバホテルの前に国立劇場Teatro Teresa Carreñoがあり、先週のCELACサミットもここで開催されました。

今週火曜は、実は13年前の1998年の大統領選挙でチャベス大統領が初当選した記念すべき日であり、このテレサ・カレーニョ劇場で派手な記念式典が開催される予定になっていました。しかし、この豪雨によって市内の交通が大渋滞し、多くの式典参加者が会場に着かない事態となり、結局式典は中止されました。

今週の新聞にはチャベス政権の13年を総括する記事が多数掲載されましたが、その中から1998年と現在の数次を比較したものをご紹介します。

             1998年    2011年

非石油製品の輸出  3,950     3,392  (-14%)  (単位:百万ドル)

輸入          13,137    36,437  (+177%) (単位:百万ドル)

公的債務        2,494   138,522  (+5454%) (単位:百万ボリーバル)

基本生活支出(月)   123     1,668  (+1253%) (単位:ボリーバル)

単純に言うと13年間で物価が13倍になったと言うこと。逆に言えば毎年ほぼ安定的に20-30%のインフレが進行したという意味にも取れますので、この国の国民が自国通貨を信用しないで、手許の現金をモノや外貨に換えたがる習慣の背景を良く理解することが出来る訳です。

因みに昨年同時期との物価比較では、食品・非アルコール飲料34.8%、アルコール飲料・タバコ26.7%、服飾衣料品19.07%、電話以外社会サービス13.3%、住宅補修費27.8%、医療費29.9%、運賃35.1%、娯楽・文化費19.2%、教育費24.9%、外食・宿泊33.3%、総合指数27.6%と報告されています。

ところで、街は完全にクリスマス一色となって、ベネズエラのクリスマス・新年料理であるHallaca(アヤカ)作りも各家庭で進んでいます。

このHallaca、トウモロコシの粉に豚肉やオリーブ等の具を練りこんでバナナの皮でくるんで茹でるもので、家族総出で大量のHallacaを作ることがカトリックの大家族主義的風習の根強く残るベネズエラの年末の慣習になっていて、冷蔵庫や冷凍庫も大量の食材でDesbordamientoを起こしがちな季節と言えます。

📷

¿Cuándo y cómo preparan las hallacas en tu familia? ¿Se reúnen todos?(あなたはいつ、どのようにアヤカを作りますか?皆集まりますか?)

 一方、年末恒例のAguinaldo(クリスマスの心付け)という、アパートの警備員や管理人等、普段お世話になっているサービス要員の方々にお礼のチップを上げる時期ですが、今年も前述のインフレを反映して昨年より大幅に相場が上昇しており、身近でお世話になっている人では、一人当たりBsF.250(公定レートで¥4,600!、昨年相場はBsF.200)もの現金を、何人にも配ることで、手許不如意な年末となっています。

(デフレの日本で大勢の親戚の子供に前年同額のお年玉をあげるのと、同じインパクトでしょうか?)

閲覧数:3回0件のコメント

最新記事

すべて表示

パラグアイの言葉 fiscal(フィスカル)=検察 英:prosecutor 葡:promotor

今日10月10日はパラグアイの統一地方選挙の投票日。 全国で261の市長ポストを巡って814人が立候補、2,781の市議会議員ポストには30,802人が立候補して激しい選挙戦を繰り広げてきました。 首都アスンシオンでは4人の市長候補が立候補して成長著しいパラグアイの中心を如...

パラグアイの言葉 abundancia(アブンダンシア)=大量・豊富 英:abundance 葡:abundância

いよいよ2021年も最終四半期の10月を迎えました。 今日10月3日から、パラグアイではサマータイムが適用され、時計を1時間進めて、日本との時差は12時間になりました。 日本人は1月1日に雑煮を食べて正月を祝いますが、パラグアイでは10月1日にJopará(或いはYopar...

コメント


bottom of page