2011年2月19日
金曜のEl Universal紙一面記事に、「Tres veces desalojados」(三回も立ち退き)という記事が出ていました。
desalojar(デサロハール)という動詞は「立ち退く、立ち退かせる」という意味で、今回の豪雨地滑りで、家を流されたり、危険地指定となって強制的に立ち退きを強いられた人達のことを指しています。
一方、似たような単語でdesarrollo(デサロージョ)というのがあり、これは発展・開発という意味で、動詞もdesarrollar(デサロジャール)と、日本語的には極めて似た雰囲気ながら、全く別の意味を持っています。ローマ字読みではdesalojarがデサロジャールで、desarrollarはデサロリャールになりそうですが、英語でもそうであるようにRとLにはハッキリとした発音の違いがあり、またRとRRも舌の巻き方で区別があります。
勿論、地滑りで危険になった土地から、一旦住民を立ち退かせ、そこを開発し直すという流れを考えれば、desalojo para desarrollo(開発の為に立ち退き)という、日本の'90年前後のバブル地上げの風景を彷彿とさせます。
しかし、今のベネズエラでは、当時の日本と同様に、この立ち退きという言葉が非常に政治的な意味合いをもって語られています。
チャベス大統領以下政府の要人は事あるごとに地滑り被災者達(damnificados)の救済を叫んでおり、官庁や公社の事務所も開放して、大勢の人達を住まわせて、これがまた機能の低下を来していることは、これまでにも書きましたが、一方で、政府に批判的な態度をとりながら、被災した人達への救済は十分に行われていないのが実態のようです。つまり守られるのは、政府与党を支持する人達だけ。どこの国でも同じことですが、勝てば官軍負ければ賊軍ということです。ただ、生活に困窮した官軍関係者が、政府からばら撒かれる武器を手に、夜間の高速道路等で通行中のクルマを襲う、本物の賊軍も増えているようなので、一層の注意が必要な今日この頃です。
ともかく被災者救済を眼目に12月に大統領に特別権限を与える授権法を強行可決し、新たなMision(ミシオン=任務)を繰り出しています。このMisionに関し、ベネズエラ生活を綴った面白いブログを見つけましたのでご紹介します。
明日、日曜日はカラカス・マラソンという大イベントが開催され、街中の幹線道路が閉鎖されると、各紙が報じています。最近再び政府に抗議したハンスト(Huelga de hambre)が学生を中心に広がっていますが、明日は道路が使えないので、家にじっとして抗議の学生の気分を味わってみるのもよいかも知れません。
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