2017年11月18日
来年4月の大統領選挙に向けて、選挙運動が活発化してきました。
その前の予備選での指名を目指し、街中には与党Colorado党(通称:赤党)のシンボルカラーを身に着けた二人の候補、Santiago Peña氏とMarito Abdo Benítez氏の顔があちこちの電光掲示板に映し出され、ポスターも貼られています。
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左:Santiago Peña氏、 右:Marito Abdo Benítez氏
パラグアイに限らず、選挙を勝ち抜くためには如何に大衆層の得票を増やすか、であり、Peña氏を後継者として擁立したCartes大統領は、テレビコマーシャルを使って貧困層への住宅供与の政策アピールを行っています。
https://www.youtube.com/watch?v=FYec-GJttyY
これは、2015年に南米歴訪でアスンシオンにも訪問されたフランシスコ法王に因んで建設が決定したサンフランシスコ団地(Barrio San Francisco)の一部完成をローマ法王庁に報告した大統領が始めた政府広報で、さらにMariano Roque Alonzo地区にも中所得者住宅を建設する政策を実施、住環境の改善というニンジンをぶら下げて支持を得ようとする南米ではお馴染みの与党による選挙戦略です。
http://www.lanacion.com.py/pais/2017/11/14/funcionarios-de-clinicas-irian-a-huelga-general/
ただ南米各国を見慣れた視点で首都アスンシオン周辺を観察すると、巨大な貧民街存在しないことに違和感を覚え、本当にこんな戦略が必要なのか?と疑問に思います。
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更に、富裕層が固まって住む高級住宅街も無く、かと言って富裕層が居ない訳では無くて、広大な大邸宅と中間層の一般住宅に低所得者層の住居が混然一体と同居していて、多くの家の窓には他の国ではお約束の鉄格子rejaがはまっていない事に驚かされます。
これはアスンシオンの治安の良さを物語るバロメーターであると同時に、低所得者層と富裕層とがトラブル無く同居している穏やかな国民性の表れとも理解できます。
南米への投資を考える際に最も重要な要素の一つである住環境という点で、パラグアイは他の大国を大きく引き離して優位な位置付けにあると断言出来ます。
ただ、良い話ばかりではありません。
11月14日は世界糖尿病の日だったそうで、パラグアイでも成人の約一割が糖尿病であるとの記事が掲載されました。記事は、その半数は自覚症状も医師による判定も行われていないとのことで、治療や生活改善をしないと重篤な症状に進展しかねないと警告しています。
http://www.abc.com.py/edicion-impresa/locales/unos-350000-diabeticos-desconocen-su-dolencia-1649457.html
前述のビデオで紹介された住宅供給第一号のオバちゃんも、かなり立派な体格で、住宅もさることながら無料検診の実施が喫緊の課題であるように思われます。
この30年ほどの間に食料の増産が実施され、世界の多くの地域から飢餓の危機が薄まったものの、一方で低所得者層の肥満が大問題になっています。
衣食足りて礼節を知る。現代における礼節とは飽食に走らない食への節度も含む様です。
http://www.wddj.jp/01_syushi.htm
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