先週の苺の話題で、パラグアイの住宅事情に触れたところ、1,000ドルで家が建つか?という問い合わせを複数頂きました。いくら物価の安いパラグアイでも、1000ドルで建てられるのはいわゆる掘立小屋のような最低水準の小屋です。或いはそれ以下のコスト(廃物利用で資材費は無料)で建てた掘立小屋も多数存在します。従って1,000ドルで建つ住宅は実在する訳です。
それなりの設備を整えた住宅としては政府が用意する社会住宅Vivienda Socialがあり、今日のABC Color紙にこの住宅の値段が上がっている一方、質が低下しているとの記事が掲載されています。
民主主義の政治においては多くの票を獲得することが権力の頂点に近づくポイントであることは皆さんご存知の通り、低所得者が人口の太宗を占める中南米においては低所得者向けの優遇政策を如何に充実させるか?が重要な政策テーマであり、そのために各国は競って社会住宅の建設を進め、住民の人気を取る努力を重ねています。
本当に中南米ではどこにいっても同じような規格の社会福祉住宅が見られます。
日本では豪雨災害や地震・津波で家を失って途方にくれる人が大勢いるのに、政府はGo toキャンペーンなる謎の政策に大金を使って旅行や外食をさせようとしていますが、これって社会住宅の整備を進める中南米諸国に勝る政策と言えるでしょうか?
ちなみにパラグアイの社会住宅の間取りは以下のような感じらしいです。
5m x 9.6m = 48㎡=15坪弱、これに30㎡弱の庭も付いていますし、隣家との共用部分もありますから、写真でご覧の通りかなりゆったりした構造になっています。これが77百万ガラニ=120万円程度で購入できる様ですから、日本と比べれば圧倒的に安いですね。ただ、120万円と言っても平均所得が4,000ドル程度とされ、低所得者層は更に低いパラグアイですから、公営住宅と言えども高根の花と言えますが、選挙になると何故かこういう住宅が大盤振る舞いで超長期のローンで提供されるような仕組みの様です。
記事では価格が12%上がった一方で質が低下しているとのこと、中で抜いてる奴がいるから注意しろ!という意味を含んでいます。どこの国にも公金を使って儲けをたくらむ輩がいるのは気を付けるべき注意点で共通しています。
改めて国別の所得比較をご覧ください。これにはパラグアイは含まれていませんが、ブラジルやボリビアは入っています。
今週の日経新聞に経済統計の数値が肌感覚に合わないという記事が掲載されていました。
いつも書いていますが、国別の平均GDPとか平均所得というのは、その金額が無ければ平均的な生活が出来ないというバロメーターであり、いわば社会コストを示す数値と言い換えて良いと思います。
平均値が高い=先進国ということではなく、生活費が高いという意味でとらえた方が良いかも知れません。コストが高いのですから、それなりに社会資本が充実しているでしょうが、一方でそれを負担しているのが国民であり、社会資本コストの多くは自分たちが支払っている税金であることを認識すれば、投票に行かないという危険を冒すことはなくなると思います。
実はviviendaという単語は9年前のベネズエラの言葉で御紹介しました。この頃はベネズエラでも豪雨が続き、土砂崩れが頻発、亡くなる人や家を失う人が大勢出て、当時のチャベス政権は社会住宅の大盤振る舞いをして国民の人気を上げていました。
振り返ってみれば、この頃のベネズエラはまだギリギリなんとか生活が成り立つレベルでしたが、今や産油国なのにガソリンがなく、イランから輸入して賄っているだけでなく、病院の資機材も無いに等しい不足ぶり、新型コロナの感染者数が8000人強と、少ないような報告になっていますが、実態は感染者を把握するための検査キットも無く、正しい数字が掴めていないだけのことです。
統計の数字がピンとこない方が、統計が取れないよりはマシでしょうが、少なくとも大本営発表のデータや情報に振り回されない判断基準をシッカリ持っていることが大切だと思います。
因みにパラグアイの本日の感染者数は先週比+435人の2820人、亡くなった方は一人増えて21人になりました。
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