今週は新型コロナの外出禁止令にCuarentena Interigente=知的検疫という新たな定義が加えられ、一部の業種が再開できるようになりましたが、市と市の境には軍が検問を張って特にアスンシオンに入ってくるクルマをチェックするなどの措置は続いています。
感染者の数もこの一週間の間にブラジルからの帰国感染者が検知されたことで一気に倍増、先週金曜日に266人だったものが今日は563人となっています。(回復者152人、死者10人)
今日の言葉vararの名詞形varadoは後述する船の座礁の意味ですが、今回の新型コロナ鎖国で足止めを食らった外国で足止めを食らった人達のことを指す言葉としても頻繁に使われました。
日本でも報道されている通り、ブラジルは感染者の数が急増しており、今や世界の感染拡大の中心地に見なされていることから、本日のLa Nacion紙一面トップはアブド・ベニテス大統領がブラジル国境封鎖を続ける判断をしたと報じています。
こうなると、まだ暫くは物流の完全再開は望めそうもありませんが、実はコロナ以外にも物流を停滞させる要因が発生しています。
年間1500万トンの物流量を誇るパラグアイ川(下流でラプラタに合流)の水位の低下です。
この表でもお分かりの通り、過去10年でも数回しか発生していない異常な低水位に陥っています。昨年の11月にも発生した低水位、半年で再発生というのは過去に例のない大問題です。
これによって1000万トンの豊作を喜んでいた今年の大豆が80万トンも出荷できずに停滞してています。艀に積んだ商品だけでも20万トン!これが低水位で川を航行できない為に足止めを食らっている訳です。搾油用を除くと大豆として輸出されるのは700万トン、一割以上が滞貨しているのは異常事態。
現時点で収穫されていない作物もあるようですので、この停滞は非常に厳しいダメージを与えそうです。
ちなみに、世界の大豆生産量トップ10カ国のうち、5カ国は南米、ブラジル・アルゼンチン・パラグアイ・ボリビア・ウルグアイの合計量1.57億トンは世界の総生産量約3.2億トンの半分、これに北米の米国・カナダを足すと9割に近い量が米州大陸で生産されていることが判ります。
こうした重要な作物の物流が滞ると、今後世界的に需給バランスが崩れ、瞬間的なモノ余り=価格下落と長期的なモノ不足=価格上昇が発生することが危惧されます。
世界経済を座礁させないためにも、感染予防対策だけでなく食の物流正常化に向けた重要なタイミングになっている事を各国が認識して対策を講じないと、マスク不足ところではない大問題が発生します。
因みに渇水による水位低下はパラナ川水系でも発生していて、有名なイグアスの滝もこの状態です。
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