今週水曜日、元副大統領Oscar Denis氏が、自信の所有する農場の近くYby Yaú周辺で誘拐されたというニュースにパラグアイ中が震撼しました。
https://www.google.co.jp/maps/place/Yby+Ya%C3%BA/@-24.0914255,-59.0342022,7.51z/data=!4m5!3m4!1s0x9463c25cd3facb9b:0x8eea561cfcbd0968!8m2!3d-22.9703459!4d-56.5448304
Denis氏の安否は未だ確認されていませんが、アスンシオンからブラジル国境の街Pedro Juan Caballeroに向かう途中、国道3号線と5号線が交わる Yby Yaúは近年道路の整備も進み、観光の面でも注目されるエリアですが、一方以前から反政府ゲリラEPP(Ejército del Pueblo Paraguayo=パラグアイ人民軍)の活動拠点として有名で、パラグアイで最も危ないエリアと言われています。
ここのビジュアルなイメージは2018年に公開され、現在Netflixでも視聴できるパラグアイ映画LEALをご覧いただくと判り易いです。
https://www.youtube.com/watch?v=tPSLRgKpF_Q
今回の誘拐劇は今月初頭に麻薬取引を取り締まる政府軍がEPPの拠点を攻撃した際に、EPP側の二人の少女が犠牲になった仕返しとも言われていますが、詳しいことは判っていません。
麻薬取引や誘拐による身代金を収入源とするとされるEPP等のゲリラ組織は、一方で地元の原住民や貧しい人達に施しをすることで、義賊として地元で認められる努力を行っていた様ですが、今日のニュースでは今回の誘拐事件を受けて、地元の75の原住民組織が「EPPからの好意」と書かれた援助物資の受け取りを拒否した、と報じられています。
https://www.ultimahora.com/unas-75-comunidades-indigenas-del-chaco-rechazan-viveres-del-epp-n2904631.html
ラテンアメリカでは激しい貧富の格差を背景に、麻薬組織が地方政府以上の福祉を施すことで政府以上の人気を得る、という図式が知られており、メキシコやコロンビアの麻薬王達も地元では絶対的な人気を博しているケースが知られています。
しかし、善は善、悪は悪として義捐物資を拒否して誘拐行為を否定する原住民の動きは、裏に何かがある?との疑問が持たれながらも、パラグアイの麻薬不正取引撲滅への強い姿勢の表れとみて良いと思います。
ところで、米州開発銀行(Inter-American Development Bank)というラテンアメリカの開発を支援する金融組織の長を決める選挙結果が発表され、主たる出資者でありながら、これまでサポート役を務めてきた米国から初めてキューバ系米国人であるMauricio Claver-Carone氏が総裁に選出されました。
https://www.politico.com/story/2020/09/12/trump-pick-latin-american-development-bank-1524249
この背景には、ラテンアメリカで影響力を増す中国の動きを牽制する為には米国が主導権を握る必要がある、という強い意志がくみ取れる一方、米国内でも民主党等からIDBの運営は当事者であるラテンアメリカ諸国の出身者に任せるべき、との批判の声も上がっています。
ただ、アジアの開発に米・日が主導するADB(Asian Development Bank)と並行して中国主導のAIIB(Asian Infrastructure Investment Bank)が設立されて対立軸となっているように、米中が途上国支援で張り合う結果として誕生した新総裁。中国とは国交を持たないパラグアイにとっては好意的に受け止められる人事と言えます。
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