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執筆者の写真Kaz Suzurida

パラグアイの言葉 destacar(デスタカール)=際立つ 英:highlight 葡:destacar

暑かった先週末から週が明けてまた冬の気候が戻ってきました。

そんな中、今週はArrocera=コメ生産会社の友人の厚意で彼が運営する圃場を見せて貰いました。

アスンシオンからパラグアイ川に沿って120㎞川下にあるこの会社、所有面積18,000ヘクタール(以下ha)のうち、コメの作付面積が8,000ha、その他にも大豆750haや牧畜・魚の養殖も営む大規模という農業法人です。

写真ではとても表現しきれない広大な圃場、映像でご覧ください。

この田圃、一枚(畔で囲まれた範囲)の面積が150ha、1haは100m x 100mですから、1km x 1kmのサイズです。因みに日本では1反という単位が用いられますが、これは991.74㎡=約0.1haですから、日本の田圃の1500倍の大きさということです。

従って、使われる農業機械も大規模で、GPS付のトラクターもコンバインも数千万円のモノ。これを何台も保有して150人の従業員を擁して経営されています。

この会社、2015年に立ち上がったばかりで、はじめの頃はマトモな道路も通っておらず、必要な資材は川を使って運んだとの事。30年前にベネズエラでメタノールの工場を建てることになった時も、当時タダの海岸だったところに大型機材を持ち込むのに、近隣の港で艀に積み替えて浜辺から引き揚げたことを思い出します。

ともかく、発足から僅か5年余りで、日本なら群馬県・静岡県・大分県の生産量に匹敵する年間8万トンのコメを生産できる立派な農地を作り上げた人たちの尽力には脱帽です。

栽培している品種は長粒のインディカ種、苗を水田に植え付けるのではなく、耕起した畑に機械で溝を作って肥料と一緒に種籾を落とし、太いチェーンで地ならしして覆土する方式です。


長期間にわたって旱魃に見舞われているパラグアイで、発芽するのかと思いましたが、ご覧の通り芽を出しています。


播種が終わって発芽が確認されると、パラグアイ川脇の取水場から汲み上げた水を各田圃に引いて行きます。その量は1haあたり7,000㎥/年。今年は1,000ha面積を増やして9,000haとなるので、総需要は63百万㎥、東京都水道局の供給量の15日分相当の水を川から汲み上げる計算です。


パラグアイのスーパーで販売されている長粒種の安いコメの価格はUS$1/㎏程度、ブラジルのサンパウロでも似たような値段ですから、出荷価格は応分のモノだとすると、栽培面積はもっと増やす必要があるようです。

因みに日本のコメの値段はキロ5ドル程度。コロナ禍の影響で消費が減って産業として今まで以上に大変な状況に陥っています。

パラグアイのコメには南米域内という大市場がありますし、そもそも品種の違いからアジア市場を脅かすものではありません。


ただ、栽培規模の違いや市場の将来性については、日本の皆さんも知っておくべきテーマと思い、御紹介しました。


さて、今週はまたCNNがパラグアイについて「南米の際立った観光資源の宝庫」として紹介してくれました。

この写真を観てもピンとこないかも知れませんが、少しづつでもパラグアイの魅力に気付く人が増えることを期待します。

ところで、8月25日水曜日のabc color第一面。前面Guarani語表記なのでサッパリ読めませんでした。先住民族の文化にも敬意を払うパラグアイ、こういう魅力も際立っていると言えます。

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