今週も珍しくパラグアイでの事件が世界的に報道されました。
サッカーのスーパースターRonaldinho(ブラジル読みだとホナウヂーニョ)氏が偽造パスポートでの入国で逮捕されたというものです。
ロナウジーニョ氏はパラグアイ身分証明書まで所持しており、昨日のLa Nacionの一面トップも「Ronaldinhoはパラグアイ人、が世界的スキャンダル」としています。事件は一旦収束しかけたように見えましたが、R氏に資金洗浄の嫌疑がかけられ、新たな展開を産みそうです。
一方、世界的なコロナ騒動で移動制限がかかる中、著名な経済学者が日本から遥々来られて自由貿易の重要性や日本と南米との経済協定の強化に関する講演会を開催されました。
講演の中で先生は、各地の地域経済連携協定の歴史について触れ、日本のASEANやTPPへの関与について、1985年のプラザ合意が原点であるとの解説をされました。
プラザ合意で大幅な円高となって日本の製造業が東南アジアに進出することになり、必然的に新たな経済圏の創設が必要になったというもので、 これは、現在の南米諸国の関係を読み解くにも判り易い切り口であり、大いに参考になりました。
通貨の安定したパラグアイと、不安定なブラジル・アルゼンチンなどの近隣諸国との関係を如何に構築すべきか?について考えさせられる内容です。
因みに、日本円とドルの関係について記した面白い解説を発見しましたのでご紹介します。
この説明には第二次大戦直後の日本・ドイツでのハイパーインフレに関する記述が欠けているので、飽くまで参考値ということに留めます。
ベネズエラやジンバブエで起きている長期的ハイパーインフレは、日本やドイツが経験した戦争という一過性のイベントへの過大な債務の返済とは性質が異なり、またアルゼンチンの慢性的インフレやデフォルトも生真面目な日本人には理解し難い構造を持っていますが、貿易の自由化や地域協定の重要性は南米でも同じ意義を以って迎えられます。
今週は所用でアスンシオンの隣町であるアルゼンチンのクロリンダに行ってきました。と言っても、直線距離で僅か10㎞程度(実際にはアスンシオン北西の橋を渡るので40㎞)の田舎街ですが、下の航空写真でお分かりの通り、ピルコマヨ川を境にパラグアイと国境を接していることになっていて、橋の向こうとこっちで活発に荷物の往来が行われています。
向こう側はパラグアイ。何でも売ってる雑貨屋だけでなく、歯医者の診療所もあります。東の街Ciudad del Esteの小型版という風情。
向こう側はアルゼンチン。大した店はなく、農産物やワインなどが税関を通らずにパラグアイ側に運び込まれます。
関税が安く工業製品が豊富なパラグアイと、農産物の安いアルゼンチンの国境では、国が管理しきれないレベルの物流が発生していて、現時点では違法な取引も多分にある訳ですが、こうした悪しき流れも国家間の経済連携協定の進捗によって自然に解消するのが好ましいと思われます。
そうすれば、資金洗浄だの違法な国境超えも無くなるわけです。
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