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執筆者の写真Kaz Suzurida

ペルーの言葉 Seguridad(セグリダー)=安全、保障  英:Security

2011年5月29日

今週は出張でペルーに出掛けました。 空港からリマ市内に向かう道路のあちこちに大統領決選投票に向けたキャンペーンのポスターが掲げられていました。 アルベルト・フジモリ元大統領の長女ケイコ氏と、前回2006年の大統領選でも決選投票まで進み、破れた元軍人のオジャンタ・ウマラ氏との闘いですが、米国でのヒラリー・オバマの予備選の時と同様に、両陣営による相手への激しい中傷戦になっているようで、市民はこうした報道に些か辟易とした印象を持っているようです。 とは言え、法律で投票が義務付けられているペルーでは、必ずどちらかへの投票が行われるとの事であり、北部で強い支持を得るケイコ氏と、南部に強いウマラ氏とで正に国を二分する勝負となっています。 前回の選挙でも決選まで進みながら、我がチャベス大統領との近い関係を嫌われて敗れたウマラ氏は「Honesitidad(正直)」という標語を掲げて、極左政権でボロボロになっていることが知られるベネズエラの真似はしない姿勢を打ち出しながら、これを否定する反対勢力に対し「自分は正直だ」訴えています。 http://www.youtube.com/watch?v=VT-M9LIZ2ns

ウマラ氏へのインタビュー映像を検索して、最初に出てくるのはベネズエラ政府系の南米放送局「TeleSUR」のニュースで、ここでウマラ氏は他の候補者の政策を穏やかに否定する姿勢を見せています。(TeleSURの画像がいきなり出てくると、どんなに本人が否定してもチャベスからは支持されていること丸判りですが。) 一方のケイコ氏の標語は「Seguridad y oportunidad(安全と機会)」で、いまだ地方に残るテロの撲滅(父親のイメージの継承)や社会的弱者により多くの参加機会を与えるということで、国民の多数を占める貧困層へのメッセージとなっています。 http://www.youtube.com/watch?v=95rLD6ziPUU&NR=1&feature=fvwp 一方、ケイコ氏の映像では、父親の傀儡になるのでは?とのインタビューに「いまだ過半数の国民がアルベルト・フジモリ(アナウンサーはフヒモリと発音)を支持していて、それが自分への応援になっているのは事実だが、政策は独自の考えで行う」と断言しています。 ベネズエラでも国民の大多数が最大の問題を非安全(inseguridad、インセグリダー)であると考えている一方、政権の責任と大統領との責任とは、何故か切り離されており、直接性民主主義による首長選びが”人気投票”になっているという指摘は否定できません。 ところでペルーで気付いたベネズエラとのスペイン語の違いについて紹介します。 ドアを開けるとき、どちらに開くか?で「押す(Push)」の場合はベネズエラでもペルーでも「Empuje、エンプーヘ」ですが、「引く(Pull)」はベネズエラでは「Hale、アレ」、ペルーでは「Jale、ハレ」と表記されます。手元のスペイン語の辞書で調べると、引っ張るを意味する動詞HalarもJalarもラテンアメリカのスペイン語であり、スペイン本国ではTirarが使われるようです。

大詰めを迎えたペルーの決選投票、両陣営ともより多くの支持をJalarして自分の優位をAsegurar(確保)する為に懸命になっています。

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