2014年3月22日
先週から新学期が始まりました。
実に二か月半の夏休みが終わった訳で、子供たちはペースを取り戻すのに大変だと思います。
多分ペースを取り戻せなかった大人も居た様で、今日は学校給食の牛乳が原因となった食中毒の
ニュースが一面に掲載されていました。
Leche malograda afecto a 45 ninos y 6 profesores de tres colegios de Canete. (カニエテの小学校で45人の生徒と6人の教師が傷んだ牛乳で入院)
128万㎢と、日本(38万㎢)の約三倍の面積を持つペルーですが、山岳が八割を占める日本と同じように、Sierra(シエラ)と呼ばれる山岳部が28%、selva(セルバ)と呼ばれるジャングルが60%を占め、costa(コスタ)と呼ばれる海岸部の平地は僅か12%しか無い訳です。
勿論、山岳地帯にもジャングルにも人は住んでいる訳ですが、圧倒的多数が平地に住んでいるという
点では、日本もペルーも同じ。ペルーの人口は最近の統計で遂に3千万人を超えた様ですが、問題は12%の平地が南北約3千キロの細長いエリアなので、国内の物流が大変ということ。
ガソリンやディーゼルの価格は日本とほぼ同じ150円/L前後(リマの場合)、地方に行くと当然燃料の
物流費も嵩むので、もっとコストが掛かるわけで、畢竟、生鮮食料品は地元でとれたものを地元で消費することになります。
今週は出張でリマの北1千キロのPiuraと言う町に行きましたが、ここの道路を走っていると、Paitaと言う港から鮮魚を乗せたトラックが走っているのに何度か出くわしました。
これらの車は昼夜連続で走って丸一日かけてリマに鮮魚を届けるのだそうで、こうした事情は日本と
似ていると言えなくもありませんが、やはり物流システムが未整備なので、リマに到着した時には
かなり鮮度が落ちることになります。
牛乳も同じで、リマ郊外にある大手乳製品メーカー二社が国内の乳製品市場の九割以上を正に
牛耳っているのが実態で、したがって地方では牛乳というのは濃縮加工したものを缶詰にして
売られている訳で、そういう意味では新鮮さは失われるものの、品質管理はある程度信頼できる
と考えられます。
今回問題が発生したカニエテと言うのは、リマの南約140kmの農村地帯ですが、ここは1899年に
初の日本人移民が入植した土地で、今日でもリマ近郊農業を支える重要拠点と言える場所。
牧畜も行われていますが、まだ夏の暑さが残る今だから、牛乳の保管に問題が生じ、大規模な
食中毒に発展したといえる訳です。
この記事には、昨年から今回に至る一年間に発生した食中毒の例が掲載されていますが、12件
発生している全てが地方都市で起こったということは、やはりペルーのインフラの脆弱性を物語って
いると言えるのではないでしょうか。
Comments