2010年7月24日
検診休暇等で2週間カラカスを離れ、戻ってきたところで久々にベネズエラ流の洗礼に遭いました。空港の税関=Aduanaです。
ベネズエラでも現金1万ドル以上や麻薬・動植物など、他の国同様に持ち込みが規制されるものはあり、空港で必ず税関チェックがあります。
しかも、日本や欧米と異なり、手荷物を受け取った後にX線検査があり、手荷物の中身をしっかりチェックされます。
この際、複数の同一貨物が見つかると、商用目的の密輸と看做され、別室の検査室に連れて行かれ、ここで再度徹底的な荷物チェックを受けます。
今回引っかかったのは、来月予定されている行事で使用する予定の枡。
酒樽の鏡割り用に持ち込んだのですが、ベネズエラ人にはこれが何なのか理解できず、ダンボール箱に入った枡百個が不審貨物として自動的に別室送りとなり、1時間以上時間待たされた挙句、500ボリーバルの追徴課税を申し渡されました。
これがベネズエラとの合弁企業での公式行事に使われる道具であり、これで商売をする訳ではないことを丁寧に説明した結果、税金は300ボリーバルに減額されましたが、フライトが二時間遅れ、殆ど深夜の時間となってから、さらにこうした手続きで時間とお金を取られるのは極めて不愉快なことであり、日本から合計24時間の旅の終わりの出来事としては疲れが倍増する出来事となりました。
さて、今日7月24日は解放者Simon Bolivarの誕生日(Natalicio del Libertador)。今回は生誕から227回目のお祝いとのことで、数字の切りが良い訳ではないものの、今年を独立宣言200周年の年と位置づけ、9月26日の国会議員選挙に向けて現政権の成功を印象付けたい政府は、今日の行事にもいつもにも増して力を入れていたように見受けられます。
Panteon Nacionalで行われたBolivarの棺の開封行事はいつもどおりながら、今回は行事の最前列に裸族代表を並べ、解放者Bolivarと共にインディオ達がこの国の中枢にいたかの様な演出を行っていました。
正直な話、こうした国事行為にインディオが裸で出てくるのを見たのは個人的には初めてなので、新鮮な印象を受けたものの、果たしてこうした演出が一般大衆に受け入れられるのかどうか、懐疑的に感じられるものでもあります。
空港での課税対象となる人種は何故か東洋系が圧倒的に多く、確かに大量の食料品を多く持ち込むことから、こうした扱いも仕方ないと諦める一方、東洋系人種に対する差別意識を持つ人が多くいるのも否めない事実であるこの国で、アジア人と同じルーツを持つと言われるインディオを最上級に置いた今回の演出、勿論チャベス大統領の指示によるものは間違いないものの、一方で重要な隣国コロンビアへの断交宣言を行うなど、どうも極端な言動が一層激化し、一般の人達の理解を超越した方向性に向かっているように思われます。
ただ、欧米メディアで大きな話題となっている断交宣言も、国内では「またか」という程度の受け止められ方で、新聞・テレビ・ラジオなどの主要メディアでもカトリック司教会が発表した「コロンビアとは平和が重要」とした宣言を報道している程度で、このまま戦争に突入するとは誰も考えていません。
昨年もコロンビアが米軍基地を国内に置くと発表して、国交断絶宣言をしたのが7月。
言ってみれば年中行事の一つという感触でしか受け止められておらず、大衆受け(?)を狙うには、益々過激にならざるを得ない状況は、日本のテレビ番組の低俗化と似たところがあるのかも知れません。
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