2011年8月13日
どこの国でもそうですが、ベネズエラでも空港に着いたら先ず入国管理の行列に並びます。この行列、最近になってシステムが改善され、少し前に見られたような、ダラダラ長い行列にひたすら待たされるようなことはなくなり、近隣諸国同様の比較的整然とした仕組みになりました。
入国管理でラテン系の人達から一番嫌われているのはマイアミの空港で、いつ、どんなフライトで飛んでも長蛇の列ですし、乗り換えの場合のセキュリティチェックも含めると、乗り換えには三時間以上の時間が必要になります。
一方、出国に関しては、マイアミを含め米国のどこの空港も極めて簡単ですし、南米の他の国も出国管理で手間取って乗り遅れ、ということは発生しません。
しかしベネズエラは違います。
何故か出国管理に異常な時間が掛かり、この為に空港への到着は出発便の3時間前位に着く事が奨励されます。
そもそも、各航空会社のチェックインが猛烈にモタつき、混雑した便では空港到着から優に1時間は必要となり、それから出国税(現在BsF.195)を支払い、ゲートインしてセキュリティチェックを受け、出国管理に並ぶまで30分。
ここから悪評高い出国管理ですが、入国時と同じフォームの管理票にパスポート番号や住所、行き先や便名を記入して長い行列を待ちます。
今週、出張のために空港でこの行列を待っていた時に事件が起きました。
フライトは午後2時5分発のサンフアン(プエルトリコ)経由ニューヨーク行き、この時間帯は他にもマイアミ行きや南米各国行きの便があって比較的混むので、十分に余裕を持って12時前には出国管理の行列に並んでいました。(つまり空港には3時間前には到着)
最近は最新鋭の自動出国管理機まで導入され、最新のパスポートを持っているベネズエラ人なら、日本の鉄道改札のような機械でスッと出国も可能になった筈ですが、この日は機械が作動しておらず、旧来型の窓口(約10箇所)が3つのブロックに分けられ、大勢の人々がそれぞれ任意の行列に並んでいました。
ところが、小生が並んでいた真ん中のブロックで、突然出国管理官が小生の後ろ3人目の女性を最後に、「このブロックはクローズする」と宣言しました。理由は自分達が昼食を摂るので誰も対応できなくなるから、と言うもの。
しかし、クローズすると言っても、ちゃんとベルトパーティション(下写真は資料映像)を設定しておらず、最後尾の女性がいちいち入ってくる人達に「この行列は渡しが最後なのよ」と説明し、言われた客達は他の行列に並び直していました。
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しかし、恰幅の良い一人の紳士(の様に見えた男性)が彼女の言うのを無視して、平然とその後ろに並んだので、若い空港職員がやってきて、この人に「Señor, este puesto ya esta cerrada(お客様、ここは閉鎖されています)」と言ったのですが、この男性、職員の態度が気に入らなかったらしく、いきなり大声で「¿por qué estás gritándome(なんでお前は俺に向かって怒鳴るんだ?)」と叫びました。
それどころか、「上司を呼べ」だの「何でここが閉鎖なんだ」だのと喚いた挙句、出国管理ブースに歩み寄って、そこで抗議を始めたので、益々作業が停滞した訳です。
事の一部始終を見ていた我々は「(職員の若者は)Gritarしてないよね。」とか「言われたと抗議している本人だけがGritarしてるんじゃん」と話していましたが、結局この男性は何人かの他の職員に執り成され、件の職員を罵りながら他のブロックの後尾に並びなおし、騒ぎは収まりました。
そもそも、大行列が出来ている最中に、昼食時間だから窓口を閉鎖する、という感覚自体、普通のサービス精神があれば起こらないことであり、反政府派の亡命を防ぐためとも言われる厳しい出国管理も、ベネズエラならではの大きな問題点である訳です。
このGritarという言葉、最近のベネズエラで良く耳にするようになったのですが、多くは人間関係のギクシャク感が原因であるように思います。
会社でも最近、同僚が別の社員にGritarした、と訴えられ、問題になりました。この時も近くに居たのですが、少なくとも「怒鳴りつける」と言う雰囲気の会話では無いのに、Gritarという単語が使われ、言われた方もビックリした、という状況でした。
今のベネズエラでは大統領派が反対派を、またその反対が互いを罵り合う(つまりGritarし合う)場面が頻繁にテレビやラジオ、新聞に出てきます。
こうした様子を見ている国民が、お互いに誰かをGritarし始めると、ロンドンやフィラデルフィアで発生したような暴動(revuelta)に発展してゆくのでは?という懸念を抱いている今日この頃です。
結論として、こうした些細なトラブルが頻発する(行列の割り込みを巡ってもすぐ喧嘩が発生する)カラカスの空港へは、予定の時間よりも大幅に余裕をもってお出かけになることをお勧めします。
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