2010年1月9日
既に日本でも報道されている通り、昨晩突然チャベス大統領が通貨ボリーバルの切り下げを発表しました。
これまでの一律BsF.2.15/$から、食糧・医薬品など生活必需品はBsF.2.6/$、その他の商品はBsF.4.3/$という二重為替制度に移行するということ。
日本では1971年のニクソンショック以来、円は対ドルで切り上がるのが当たり前、しかも最近の円高傾向でドルの弱体化を懸念する声が多く上がっていました。
しかし、ここベネズエラでは石油以外の収支では常に入超の状態であったことから、為替価値はドルに対して下がり続けるというのが常識化していました。つまり、輸入品の値段はいずれ上がる。これがインフレとなる。自国通貨に対する国民の信用が無いので、富裕者層は手許のボリーバルを直ぐドルに換金したがる。国内産業が未成熟なので食品(自給率30%)をはじめ多くのモノを輸入に頼り、慢性的にドル需要がボリ需要を上回り、これが更にドル高ボリ安を促進する。
こうした事態を食い止めるのが歴代大統領の重要な仕事の一つであり、80年代にはRECADIという為替管理局を作って「生活必需品の輸入には通常為替の半額で済むよう、補助金を出す」という政策を打ち出しましたが、RECADIに付け届けをすれば、何でも必需品認定がもらえる(=汚職の温床)ようになり、制度は破綻、88年末に停止を発表した途端にモノ不足が発生し、有名な全国暴動に発展した経緯があります。
今回の二重為替制度の導入は、このRECADI時代の再来を彷彿とさせるのですが、過去の歴史に学んで、現為替管理局CADIVIが汚職まみれとならず、厳格な運営を行ってくれるように祈るばかりです。
大統領による新制度移行の発表が金曜夜であった為に、直前にBsF.6/$となっていた並行レートがどうなるか、今のところ見えていませんが、月曜朝の動静が大いに気になるところです。
一方、今週は他にも人口動静の発表が国家統計局(INE)から行われ、昨年9月末の時点での全国人口(Poblacion ポブラシオン)が28,944,489人になったと報じられました。発表元のINEのホームページでは昨日の人口が28,619,813となっていたのに、今朝は28,621,046になっており、一日で1,233の人口増が認められます。ベネズエラの人口は20年前には約2600万人とされていたものが、最近は2700万になったという理解でいましたが、どうやら直近人口は2900万になっているとのこと。確かに都市貧困人口の増加は明らかですが、一方で現政権からの迫害を避け、マイアミやパナマ等に多数のベネズエラ人が逃避しています。9月26日の国政選挙に向けて投票者数の水増し(勿論体制派の)が行われている、という見方は穿ったものでしょうか?
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