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執筆者の写真Kaz Suzurida

ベネズエラの言葉 crucero(クルセーロ)=巡航、クルージング  英:cruise

2011年12月24日

先週の金曜日、午後半休を取って夕方La Guaira港から出航する近海クルーズ船"Ola Esmeralda”号に乗って3泊2日の週末航海を楽しんできました。

カリブ海のクルーズ船というと、最近では総トン数が20万トンを超え、乗客定員も5千人以上という超大型の客船も就航していますが、今回搭乗したのは何と1965年にノルウェーで建造され、'92年にベネズエラ船籍となった総トン数11千トン、全長143m、最大水深6.2m、乗客定員451人の老朽小型客船です。

行き先も、パスポートの要らないベネズエラ国内、地元で人気の観光地(日本の昔の熱海のイメージ)であるマルガリータ島の東に浮かぶLos Testigos諸島で、金曜の夜7時に出港し、月曜の朝8時に帰港するというコンパクトな船旅でした。

何しろ初めての船旅とあって、普段何度も行ったり来たりしているカラカス港でも客船の付く位置が判らずに、少し道に迷ったりもしましたが、税関事務所の手前の

フェリー乗り場、ということで無事に到着。しかし、ここに集まっていた乗客の多くは地元の中流階層と見られる人達で、小生同様さっきまで職場に居て、そのまま

船着き場にやって来たという感じで、我々の後ろには消防署で働く女性が防火服のようなモノを着たまま搭乗を待っていて、他にも職場の制服(多くはロゴ入りのポロシャツ)を来ている人達が長い行列を作っていました。

実際に乗船するまでの手続きの煩雑さは、如何にも社会主義ベネズエラらしいダラダラしたもので、乗船後も係留地での島の見学ツアーの段取りなど、不手際の連続でかなり辟易させられる場面もありましたが、ベネズエラ人ですらあまり行ったことの無い諸島巡りはそこそこ愉しめる内容でした。

ただ国際線の飛行場搭乗口で怒りをぶちまける金持ちのベネズエラ上流階級とは全く異なり、この船に乗っていた中流以下と見られる乗客の多くは、どんなに長時間待たされても、怒る人は居らず、従順に(何も考えないで)ひたすら自分の順番が来るのを待っていて、旅行代理店の不手際にも文句ひとつ言わない姿に、大統領の愚民化政策が見事に成功した例なのだろうと、些かの驚きを以って観察をしていました。(そうでもしないとコチラは直ぐに頭に来る!)

📷 📷

写真左:1965年建造の本船は、乗客定員451人に対し、乗組員定員がなんと200人!金持ちが多くの使用人を使っていた時代の名残と言えます。

写真右:Los Testigos諸島のTamarindoビーチ。ここはイセエビ(Langosta)の有名な漁場です。

因みに1969年に原作が発表され、72年に大ヒットした初の客船パニック映画「ポセイドン・アドベンチャー」の舞台となる客船は想定定員1400人、ざっくりこの船の三倍のサイズです。

船旅が優雅な金持ちだけのモノだった時代の遺物としてクラッシックカーならぬクラッシックシップに乗れる愉しみは、'70年代のクラッシック旅客機DC9、元祖737(200型)と同様に今やベネズエラならではのモノ、と言えるのかも知れません。

フィリピンでは大雨で大勢の方々が被災され、亡くなっているとのことですが、ベネズエラやコロンビアでも豪雨は続いており、この雨はまだしばらく続く気配です。

来年のチャベス丸のcruceroが順風満帆であって欲しいと願いつつも、天候や健康問題のみならず、選挙に向けて治安や経済の問題など、益々警戒が必要な一年になりそうです。

本年最後に今のベネズエラを良く表現した映像を入手しましたので御紹介します。

では皆様、Feliz Navidad y Feliz Fin de Año! (メリークリスマス、良い年末を!)

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