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執筆者の写真Kaz Suzurida

ベネズエラの言葉 apagón(アパゴン)=停電 英:blackout

2011年4月2日

水曜日の各紙の一面を飾ったのは停電による地下鉄停止で発生した混乱のニュースでした。


反政府系El Universal紙の見出しは「300 obreros desplegados para normalizar el Metro(地下鉄の正常化の為に300人の職員が配置される)」、El Nacionalは「Fallas eléctricas en el Metro causaron caos en la capital(地下鉄の停電が首都に混乱もたらす)とし、政府寄りのUltimas Noticias紙も「Despelote por apagon en Metro(地下鉄の停電で大混乱)」と、同じ論調で首都カラカスの交通網が麻痺して街中に人が溢れ、道路が大渋滞した様子を伝えています。

📷混乱する地下鉄ホーム


先の地震の際には首都圏のJRがいち早く運行を停止し、地下鉄や私鉄も止まったことで大混乱を引き起こしましたが、これまで何度も書いてきた通り、カラカスでは常にニュースにはなるものの、停電による地下鉄の運行停止はこの三年間で何度も発生しています。火曜日の場合は朝06:20に停電が発生し、夜の23:30まで止まっており、翌水曜日も一部区間で間引き運転が行われるなど、市民の足に大きな影響をもたらしました。


今日土曜日のUltimas Noticias紙一面トップ記事は「Alto comsumo de luz alarma a Corpoelec(電力公社は高い電力消費に警戒)」というもので、Ali Rodriguez大臣がベネズエラの総電力消費量は発電能力の15~16.8GWを大幅に上回り、18GWに達するとの見通しを述べ、国民に節電を呼びかけると共に、計画停電の実施の可能性を示唆しています。また、El Universal紙一面トップでも、発電設備の43%が停止中であるとして、電力不足への警戒を訴えています。


日本の総発電能力が228GWだそうですが、東日本と西日本の周波数の違いが問題になっているのは御既承の通り。しかし、以前はベネズエラでもカラカスとその他地域とで周波数の違いがあったと、当地の電力専門家に聞きました。従って電力の融通が出来ず、これを解消するために'70年代にカラカス電力が大規模な投資を行ったとのこと。当時は世界的に石油ショックの時代だったものの、産油国ベネズエラは逆に世界有数の金持ちだったので、こういうことも可能だったのでしょう。一方でバラマキと無駄遣いの結果、今や能力以下の供給しか出来ない国に成り下がった現状は、日本の今後の方針策定にも参考になることでしょう。


東京電力管内の発電能力だけで49GWもあり、人口一人当たりの消費量では日本はベネズエラの三倍以上の電力を消費していることになります。生活のイメージで言うと、冷房の効かせ過ぎや、早朝まで行われる大音量スピーカーを鳴らしっぱなしにするパーティー、家庭内でも大型の電化製品等と圧倒的に電気の無駄使い・無駄食いをしているかのように見えるベネズエラですが、日本の便利な生活を支えているのが、電力であること、改めて考えさせられる問題です。

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