2016年1月16日
今週最大のニュースは原油価格がとうとう30ドルを割り込んだことでしょう。
この結果、スキャンダルに揺れる国営石油会社Petrobrasの更なる業績の悪化や事業売却の拡大が予想されます。
また、一次資源輸出に依存している南米各国は中国の需要減速に伴う資源価格の低迷によって当分厳しい状態が続くとみられます。
そうした資源依存国の中でも石油収入に90%以上を依存するベネズエラは、最も原油安の影響を受けている南米諸国の代表格です。
そのベネズエラで昨日マドゥロ大統領が年初の国会演説を行い、経済緊急事態宣言を発表しました。
ブラジルの主要紙二紙でも一面トップ記事に取り上げていて、ブラジルが如何にベネズエラとの経済関係に依存していたかを伺い知ることができます。
ただ、その政令の中身は貧困層からの圧倒的な支持を取り付けて故チャベス大統領が取り付けた大統領権限で行える強権政策との違いがハッキリせず、具体的に如何なる改善が期待できるのかは不透明な状況です。
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さて、今日の言葉vazamentoは立て続けに出てきた単語です。
一つはサンパウロの海岸リゾートGuarujaの港湾側で発生した火災による化学物質拡散のニュース。
Fumaça de vazamento de gás no litoral sul atinge quatro cidades(ガス漏れによる煙が4市を直撃)
Guarujaというのは港湾街Santosに隣接するエリアで、巨大な湿地帯で隔離されているのですが、運河をフェリーで渡れば5分という目と鼻の先。基本的には少し内陸に入ったCubatao(クバトン)という工業地帯で使用される色々な原料を荷揚げするSantos港の一角を占める場所で、この事故が発生。原因は未だに発表されていませんが、消毒薬成分を含む煙が大量に発生して、Santos・Guaruja・Cubatao・Sao Vicenteという広大なエリアで目やのどの痛みを訴えるケースが多発しました。拡散したのはプールの消毒やカット野菜の殺菌に使われるジクロロイソシアヌル酸ナトリウムであると報じられていますが、この物質に引火性は無く、火災の発生原因の究明が急がされています。
サントス港では昨年4月にも燃料タンクターミナルが大規模な火災に遭って一週間ほど燃え続け、液体商品の受け渡しが長期間に亘って出来なくなった事故が起こったばかりで、当局の安全管理体制の強化が求められています。
もう一つ流出して問題になっているのは汚職問題の証言。
Dilma critica vazamentos de delações e diz que nada tem a esconder(ジルマは漏れた証言に関して何も隠していないと批判)
http://politica.estadao.com.br/noticias/geral,dilma-critica-vazamentos-e-diz-que-nada-tem-a-esconder,10000007181
ジルマ大統領が共同記者会見の席で、今週新たに元ペトロブラスの購買部長が同社汚職に関しては、当時同社役員であったジルマ氏も全て知っており、責任から逃れられないとの趣旨の発言をしたことに反応したもの。
それにしても、カネの切れ目は縁の切れ目か、刑の軽減と引き換えに証言を促す司法取引の御蔭で、芋づる式に大勢の政財界トップの関与が暴露されています。
今週のサンパウロはまるで日本の梅雨時の様な愚図ついた転機でした。下の二枚の写真は、2014年2月と今週火曜にサンパウロ市の北西約16kmにあるピラシカバ市の皮の様子を同じ場所で撮ったモノ。渇水で枯れかかっていた川の流れは今週濁流となって周辺道路を冠水させた模様です。 Pedras expostas durante a seca do rio Piracicaba, no interior paulista, em fevereiro de 2014 (à esq.); quase dois anos depois, o rio transbordou na terça (12) e alagou ruas de Piracicaba 📷
何でもかんでも漏れ漏れの最近のブラジル。管理をキッチリ行って、危ない物質も発言も流れ出ないように工夫することが必要です。そう言えば、イスラム教過激派との関与を疑われ、監視等の扱いを受けていることが不当としてブラジルを去ろうとしているアルジェリア人の大学教授の記事も出ていました。真相は明らかにされていませんが、頭脳流出のリスクもあるようです。
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