2015年7月26日
毎朝ほぼ決まった時間(07:30)に家を出て、歩いて08:00前には会社に着きます。
これは今までのどの勤務地よりも近く、しかも便利な生活です。
前任地リマでも歩けばやはり30分以内で会社に着きましたが、治安を理由に徒歩通勤は禁じられていた
ので、已む無くクルマに乗っていました。また、リマでは出向先の事務所は車で渋滞が無くても30分程度かかる距離でしたので、クルマ依存度の高い生活を強いられていた他場所に比べると、サンパウロの
「歩ける生活」は本当に気分が良いものです。
通勤路はサンパウロ最大のビジネス街であるパウリスタ大通(Avenida Paulista)で、ここは片道自動車
4車線、真ん中に最近完成したばかりの自転車専用道(Ciclovia)があり、しかも両側の歩行者専用路も
十分な幅があって、世界でも有数の「歩いて気分の良い道路」と勝手に評価しています。
日曜日には自動車線の一つを隔離して自転車やスケートボードに解放しており、天気の良い日の散歩
には最高の道路。しかも途中に公園や美術館があって、こんな環境で生活できるのはありがたい、と
日々感じています。
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ところが、このパウリスタ大通から企業が逃げ出している、という記事を今朝のFolha紙電子版で見つけました。
Com 'crise de identidade', av. Paulista passa por fuga de empresas em SP(魅力失うパウリスタ
この記事によると、パウリスタ大通で最近増えているホームレス(moradores de rua=路上生活者)や
モノ売り(camelôs)の増加で環境が悪化、昨年13%だったこの地区の商業設備空室率が現在20%に
あがっているというのです。
確かに、路上生活者の数は最近急増しているように思います。彼らはビルの軒下に数人でうずくまって、朝の通勤時間でも堂々と惰眠をむさぼっていて、歩くのに少し邪魔なこともあります。
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ただ、歩道が広いので避けて通ることは十分に可能。物売りは、パン・ケーキにコーヒー・ジュースと
いった朝食にはじまり、洋服や傘・携帯の電源等、各種果物や茹でトウモロコシにマーガリンをかけた
Milho、各種民芸品など、本当にバラエティ豊かな路上店舗といった風情ですが、決して不愉快な感じはしていません。
また、音楽などの路上パフォーマーも沢山いて、個人的にはむしろ楽しく感じています。
しかし、こうした非正規労働者が脱税や犯罪に結びついているとして、時折警察の取り締まりが行われている模様です。
記事を良く読む限り、治安の悪化で企業が逃げていると言うよりは、やはり景気の悪化で家賃の高い
パウリスタ大通界隈には居られなくなった、と言うのが本音の様に思われます。
ただ、金曜の無料紙Metro Newsには、サンパウロ市内で同紙が行った調査の結果、なんと49%の
子供がサンパウロから逃げ出したいと考えている、との見出しが出ていました。
49% das crianças e adolescentes querem sair de São Paulo
これは無作為に選んだ805人の10歳から17歳までの青少年に対して行った聞き取り調査の結果との
ことで、治安の悪化で不安を感じる・地域社会に同化できない・警察が怖い等といった理由で、聖都に
住み続けたくない、と考えている様です。
今日ご紹介したfugaという単語、バッハの「トッカータとフーガ」やザ・ピーナッツの「恋のフーガ」(古い‼)でお馴染みですが、その意味が遁走曲という音楽形式の一つであるとは、小生も知りませんでした。
日本も高齢化が一層進んで若者に住みにくい国になっています。 やはり若者に遁走されない住みやすい環境を用意することこそが、大人にとって最も重要な仕事であると思いますが、如何でしょう?
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