2015年1月10日
今週はフランスで風刺週刊誌攻撃に始まり、人質事件など陰惨な事件が世界を驚かせました。
ブラジルでも別な意味での襲撃事件が新聞紙面を飾りました。
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Terminal de ônibus em SP reabre após ataque a cinco coletivos(5台のバスが襲撃されたターミナル再開)
これは、元旦からいきなりバスや地下鉄などの乗車料金がこれまでのR$3.0からR$3.5に値上げされ、
さらに7日夕方にサンパウロを襲った集中豪雨で一部地域に洪水が発生、信号機などの交通システム
も麻痺して、多くの地域で大渋滞や立ち往生が発生したことで市民のフラストレーションが溜まり、結果として市内最南端のGrajaú地区バスターミナルで停車中のバス5台に放火する事件が発生したもの。
バスはご覧の様な無残な姿となっています。
ブラジルに転勤して半年以上が経過しましたが、この国の特異性の一つにバスへの頻繁な放火、が
挙げられます。
普段の交通マナーは他のラテンアメリカ諸国と比べ、極めて優良で、渋滞の交差点でも信号が変わる
前に交差点の中に突っ込んでくるクルマをみかけることはほぼ皆無。
(ベネズエラやペルーではこうした行為が渋滞を悪化させています。)
また、路上駐車の場所が決まっていて、ここでは最寄りの販売店で1時間R$5.0の駐車券を購入し、
これを外から見える位置に置いておけば安心して停めておける仕組みで、大阪等でも観られるような
横列駐車の様な品の無い行為は全く見られません。
一般にラテンアメリカ諸国ではクルマを運転できるのはある程度異常の所得を持つ層で、こうした人達
は往々にして不遜で自分本位なので、クルマの運転や駐車のマナーも悪くなりがちですが、ブラジル
では本当に運転者のマナーは日本と同様に立派なもので、同じラ米の国とは思えない程です。
また、地下鉄やバスの乗車マナーも、お年寄りや身体の不自由な方々への優先席には混雑していても
座らない習慣や、妊婦さんなどには老若男女が率先して席を譲る光景も良く見かけます。
勿論、エレベーターでも公共交通でも乗り降りは原則レディファースト、これは日本では見られない
光景です。
しかし、バスへの放火だけは何故か頻繁にあって、少なくとも月に一度は確実にどこかでバスへの
放火が報じられています。
日本でもかつて新宿バスターミナルで乗客を大勢乗せたバスに放火する事件があって、大勢の犠牲者
が出たことがあります。ブラジルの放火は、車庫で停まっている際や、乗客を乗せていないバスが対象
となるようで、今回の事件でも犯人は乗客と運転手を車両から降ろしてから火をつけたとのこと。
その意味では、犯行の動機は人間を相手に立腹しているというよりも、より稚拙に腹いせにモノに当たるということで、被害に巻き込まれるリスクは日本やフランスよりは低いと言えます。(放火は深夜の駐車場で行われます。)
とはいうものの、やはり公共の器物を損壊するという反社会的行為は絶対に認められるものではなく、
警察にも断固とした措置をお願いしたいところです。
警察官と学校の先生、医師といった職業は社会的に尊敬されるべき地位にあるべき、と思います。
で、新年の明るいニュースの一つは、新年に就任した教育大臣が、効率学校の教員の給料を引き上げたと言うモノですが、新しい賃金は、大卒初任給でR$1,918(約88千円)。一般に高額な人件費になやむ外国企業の観点からすると、まだまだ十分とは言えない水準に見えます。
教育の質を早急に向上して、周囲への攻撃が如何に人迷惑な行為であり、公共の器物が如何に大切
でまもるべきものか、子供の頃からしっかりと教えてもらいたいものです。
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