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執筆者の写真Kaz Suzurida

パラグアイの言葉 olla(オジャ)=鍋 英:pot 葡:panela

今週木曜日14日はパラグアイの独立記念日、


続く金曜日15日は母の日でした。パラグアイの母の日は5月の第二日曜日という世界標準とは少し違った設定です。


GoogleのDoodleも特別デザインで祝日を盛り上げていました。


一方、新型コロナの感染者は更に増えて本日土曜日時点で感染者778人、死者11人となっています。発生当初は首都アスンシオンと周辺地域だけであった患者は現在ブラジル国境地域に中心を移しています。


これはブラジルからの帰国者の多くが新たな感染原因になっていることを表している訳で、隣国での状況が落ち着かない限りパラグアイでの隔離緩和も決断できないと考えられます。しかし、感染経路はほぼ完全に抑えられ、国内独自の感染がほぼ無いことから、来週からは国内の長距離バスが営業を再開することになりました。これは移動制限解除に向けた良いニュースと言えます。


今週も家の近所を散歩してみたのですが、閉店中だった有名レストランの裏庭でシェフが大鍋を焚火にかけて何かを調理していたので挨拶がてらのぞいてみました。そろそろ営業再開の準備か、或いはデリバリー食の調理かと思いきや何と社会鍋=Olla socialに提供する大なべ料理を準備中とのことでした。

このレストランはペルーの超有名店のスーシェフをしていた女性料理長が作るパラグアイ料理とペルー料理の融合を楽しめる店ですが、二か月以上続く外出禁止の措置で多くのレストランが廃業を決める中でも、社会奉仕に精を出す姿に感動しました。


今日のニュースでも東の街Ciudad del Este市の失業者が700もの社会鍋を用意して周辺の住民に提供していると報じています。

日本で社会鍋というと、救世軍が年末に街頭で吊るしている献金用の鉄鍋を思い浮かべますが(というか、赤い羽根募金や社会鍋という風物詩も消えつつある日本ですが)、パラグアイでは貧しくて食べるものに困る人達の為に食糧を提供する社会奉仕プログラムとして広く知られています。

必ずしも自分が裕福でなくても、周囲に困った人達がいれば助け合う為に奉仕するという活動があちこちで見られます。


「お皿を持って食べに来て」


新型コロナによる社会活動の停止は世界中に失業をもたらし、貧困を拡大させています。パラグアイも厳しい移動制限により経済的に厳しい生活を強いられる人の数は確実に増えています。

しかし、一方で自宅に少しでも食料があればそれを持ち寄ってより貧しい人の為に提供する活動が全国で観られるパラグアイ、ボーイスカウトの制服を着て街頭で助け合い共同募金をしていた昭和の日本を思い出させます。


食糧自給率340%のパラグアイは、今後予想される世界的な食糧危機に直面しても困ることは無いと思われます。一方、物質的に豊かな暮らしを満喫してきた日本ですが、食料自給率は40%を割り込んでいます。食のサプライチェーンが寸断されて、作ったものが売れない状態となり生産者が困窮している今、保存できる食糧の確保を急がないと大変なことになります。

一人当たりのGNPが高い国ほど経済的ダメージを受けている今回のコロナ禍を乗り切る為には禍でなく鍋が重要になってきます。

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