2017年7月8日
今週木曜日、米国商工会議所が主催する新財務大臣(Ministra de Hacienda)を囲む会に参加してきました。Ministraという単語でお分かりの通り、新大臣Lea Giménez Duarteさんはパラグアイ史上初の女性財務大臣、しかも36歳という若さで、経済副大臣から財務大臣に抜擢された人物です。
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レア ヒメネス財務大臣(左)とカルテス大統領
前に描きました通り、憲法を改正して二選目を目指したカルテス大統領が、3月末の国会放火騒動等の問題で再選を断念し、後任に38歳のSantiago Peña Palacios財務大臣(当時)を後任の大統領候補に充てることを決めた為にPeña氏が大臣を辞任、その後任として指名されたのがGimenez新大臣と言う訳です。
📷 ペニャ前財務大臣
今回の懇談会は各国商工会議所の中でも最も政府と強いパイプを持つ米国商工会議所が主催、CITI Bank銀行と監査法人PWCの協賛で、セントロのホテルCrown Plazaで開催されたもので、昨年秋に同じ場所で開催されたペニャ大臣(当時)との懇親会の時よりも活況を呈していた様に思われます。
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昨年のペニャ大臣の演説は、主に税制に関する説明に重きを置いて、企業家の投資や事業の動きを如何に政府が支援しているか、という趣旨が中心でしたが、今回のヒメネス新大臣の講演内容は、所信表明に近く、パラグアイ経済の堅調な成長ぶりを説明したあと、これまで同女史がかかわってきた貧困対策についても言及し、パラグアイ社会が抱える格差問題の解消への取り組みをアピールしていました。
これは、南米各国が抱える貧困層=人口の過半=重要な票田という図式で、多くを得票したものが政権に就く民主主義という形式の中で生き残りを図る重要なテーマであり、実態は先富主義で富=haciendaを占領した富裕者層(人口比では数パーセント)が如何に大衆をコントロールするか?に腐心する様子を見せつけられている訳です。
社会主義を声高に唱えた大衆誘導に失敗して大惨事を引き起こしているベネズエラの例なども睨みつつ、スマートな誘導法を模索している様子は、パラグアイが周辺各国との戦争を経験しつつも生き残ってきた歴史も踏まえて考えると、政治の重要性を改めて勉強できる良いケースと考えられます。
新大臣は当然のことながら、貧困対策を重要視する姿勢をみせつつも、経済発展が国民生活を向上させるカギであることもメッセージに織り込んで、富裕層で占められたイベントの聴衆を魅了した会であったように思いました。
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