2017年7月1日
先々週はパラグアイの貧困問題に触れましたが、先週の経済紙5 diasに現政権が貧困を削減しようとしても達成できないのは教育への投資が足りないから、との記事が掲載されています。http://www.5dias.com.py/94039-paraguay-entre-los-que-menos-paga-a-maestros 黒板に書かれたこの表の最初に出てくるのが、教師の年収(Ing reso anual de Docentes)比較。 トップの米国が67千ドルであるのに、パラグアイは僅か6千ドル と、十分の一以下の収入しか得ていないとされています。 初等教育の世界ランクでもパラグアイは最低レベルの123位とか136位。確かに平日の午前中でも交差点でクルマのフロントガラ ス拭きや大道芸等で稼ぎを得ようとしている子供を沢山見かけます 。 しかし、今まで住んだリマやサンパウロでも、こうした子供達は居ましたし、見かける頻度も決してパラグアイが突出しているという 印象ではありません。 毎度引用して恐縮ですが、一人当たりGDPで比較すると、米国は 57千ドルでパラグアイが4千ドルですから、米国でもパラグアイでも教員の給与は平均以上と言えるのかも知れません。 http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html ただ、レベルが世界最低ランクと言うのはいただけませんね。何を根拠にこうした序列になっているのか、サンプル抽出の方法も含め疑問は残りますが、少なくとも最下位グループを脱出するために、政府は謙虚に教育投資を増やす努力をすべきでしょう。 実は、日本政府もパラグアイの教育水準向上のために、過去半世紀 以上に亘って多種多様な援助を行っていること、日本の皆さんには殆ど知られていません。 国内の各地にある公立学校や職業訓練校・身障者支援施設など、あらゆる場所でJICAの支援が行われていて、現在も大勢の若者や年長者の皆さんがボランティアとして多様な教育の支援に携わって おられます。 📷 日本の経済協力の象徴的建物、人づくりセンター(上)と、昨年の 移住80周年記念ご来訪時にセンターを訪問された眞子内親王殿下 (下) 📷 教育水準の高さを肌感覚で語るとすれば、この国では欧州勢力が侵入してくる前からの原住民であるGuarani族の言葉が温存されていて、国民の8割がガラニ族との混血で、今もガラニ語とスペ イン語の両方を操るばかりでなく、隣の大国の影響もあってポルトガル語も話せるトリリンガル人材がゴロゴロしていて、 しかも皆温厚で性格円満。他の諸国の人間性が悪い訳ではないのですが、長年政府からの援助で援助漬けになって、何でも道路封鎖や ストライキ・バス放火などの恣意行動で権利を勝ち取ろうとする南 米文化にあって、そのような事例が少ないのは大きな魅力です。 ところで、昨年の移住80周年記念行事をはじめ、パラグアイでの日本のプレゼンスを更に高めるご尽力を賜った上田善久大使が三年半の任務を終えられて御帰任されることになりました。 主要各紙も上田大使の偉業を伝える為に、色々なニュースを流しました。 反政府系のabc color紙は「憲法修正に動いた現政権に懸念」という様なタイトルで、あたかも政権批判をするが如き印象の記事にされたものの、最後に大統領府に挨拶に出向かれた際は、カルテス大統領から最大の賛辞を伝えられたとのこと。常々上田大使が口にされていたパラグアイ最大の課題も教育レベルの向上でした。 http://www.abc.com.py/edicion-impresa/politica/el-embajador-de-japon-senala-que-la-enmienda-genero-preocupacion-1607712.html 📷 左:ロイサガ外務大臣と 下:カルテス大統領と 📷 JICA理事や米州開発銀行理事の御経験も通じてパラグアイの活性化にご尽力下さった上田大使、本当にありがとうございました!
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