2017年2月4日
Trump大統領がメキシコからの麻薬密輸が米国を揺るがす最大問題の一つとして壁の建設を始めようとしていること、先週話題で取り上げましたが、その中で大統領や国民に「馬鹿」という形容詞を使ったことで、不適切とのご指摘をいただきました。つい、大統領と同じノリで文章にしてしまったこと、大いに反省しており、改めてお詫び申し上げます。
さて、パラグアイの主要産業が農牧業であることは、これまでもご紹介してきました。
主な農産物は大豆・トウモロコシ・小麦等の穀物ですが、サトウキビも主要な農産物。
と言う事で、今週は精糖産業関係者と面談したのですが、そこで驚愕の事実を知らされました。
パラグアイの砂糖消費量は年間約15万トン、国民を600万人とすると一人当たり消費量は25㎏。
世界の粗糖生産量が1億5千万トンで世界人口を60億人とすると、パラグアイは丁度世界の0.1%の平均値と言う事ができます。
http://sugar.alic.go.jp/world/data/wd_data.htm 驚いたのはそんな話ではありません。 パラグアイの粗糖生産量が約10万トンで、足りない5万トンが密輸で賄われていると、業界関係者が平然と言ってのけたことに驚いたのです。 この説明によると、パラグアイでも農家を保護するために主要農作物の輸入には、通常の輸入関税とは異なる税率が適用されることになっていて、砂糖の場合は輸入関税10%に農業保護税として20%が上乗せされ、合計30%の税率が適用されるため、隣の大砂糖生産国ブラジルから大量の密輸砂糖が入って来るのだそうです。 以前テレビで玉ねぎの密輸入が摘発されたとのニュースを見て、「なんでタマネギを密輸入するんだろう?」と疑問に感じたことがありましたが、こういう背景があったのです。 ブラジルでは、パラグアイは「Contrabandoの国」と言われていて、実際ブラジル国内で不法に流通する重火器の殆どは米国やロシア・中国からパラグアイを通じてブラジルに流れ込んでいると聞いたことがありますし、パラグアイのタバコ輸出量が生産量を大幅に上回っているという記事を読んだこともあります。 第二次世界大戦後、中南米各国が左傾化する中で、米国政府が南米の左翼政権を揺さぶる目的で米国寄り政権のパラグアイに酒やタバコ・武器などを持ち込み、そうした物資を周辺諸国に流すことで左翼諸国での反政府活動を支援した名残が今も厳然と存在するようです。 で、2月3日は1989年に54年から35年間続いた合衆国政府傀儡のStroessner独裁体制が子飼のRodriguez将軍のクーデターで崩壊した記念日で、これを契機に憲法が改正され、大統領の再選が認められないことになった為、再選を目指して改憲準備をしていると言われる現Cartes大統領に反対する勢力が一斉に「独裁時代に戻るな!」とのメッセージを発していました。 反対派はCartes政権がインフラ整備の名のもとに税金を無駄に使っている、とも指摘しています。 今週は、そのインフラ整備事業の一つ、国道三号線の整備事業が完成し、新しい高架道路の開通式典が行われました。 📷 こうした事業は、客観的に観るとパラグアイ経済を上向きに推進するための素晴らしい成果であるように感じられます。 政府は、パラグアイの国債発行残高がラテンアメリカ諸国中でも最も低い水準にあり、反対派が唱えるような費用乱発の不健全な運営ではないことを強調しています。 http://www.lanacion.com.py/2017/02/04/paraguay-pais-menor-deuda-publica-latinoamerica/ 記事ではラテンアメリカで低いと言っていますが、実際には世界185カ国中158番目で、ラ米では下位にペルーやチリが存在するものの、GDP対比25%以下というのは極めて健全で立派な数字。 http://ecodb.net/ranking/imf_ggxwdg_ngdp.html 一方、ご覧の通り、ダントツに高いのが日本で、GDP対比3.5倍なんて金融危機で話題のギリシャを遥かに抑えてダントツの世界一、こんなの自慢にも何もなりません。 まだ密輸経済に依存するという不都合な真実を抱えつつも、内陸立地の不利益を覆すべく努力するパラグアイ、引き続き日本からも注視してください。
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